事例:統合データ可視化環境 HIVE の開発

理化学研究所 様

統合データ可視化/データ解析システム HIVE

HIVE(Heterogeneously Integrated Visual analytic Environment)は、科学技術計算の大規模計算結果の効率的な可視化を支援するオープンソースの可視化システム環境です。


HIVE 公開ページ: http://avr-aics-riken.github.io/HIVE/


HIVEは京コンピュータでの動作から、リモートのPCクラスタ環境やLinux, MacOSXなどのスタンドアローン計算機環境でも動作する可視化環境です。 HIVEは画像を生成するレンダリング処理部分は並列計算機上で動作し、UI部分はWebブラウザで動作しています。 この仕組みにより、C++による画像生成部は高速に動作し、UIはJavaScriptとHTML5により容易にカスタマイズが可能な柔軟な仕組みを実現しています。




ノードエディタでの可視化作業画面
Webブラウザで動作するUI。どのようなビジュアライゼーションを行うかの設定を機能ごとに分割されたノードを接続することで行う。


HIVE UIを利用したカメラアニメーション作業画面
Webブラウザで動作するUI。カメラとキーフレームを設定し、希望するカメラアングルとパスを作成していく。


レイトレーシングとOpenGLレンダラ

HIVEのレンダラではSURFACEと呼ばれるOpenGLES2.0をベースとしたレイトレーシングライブラリを利用しており、OpenGLとレイトレーシングを相互に切り替えてのレンダリングに対応しています。 これにより、京コンピュータなどのGPUがない環境でも動作し、GPUがある環境では高速なレンダリング可能です。 またSURFACEは、GLSLを拡張しており、GLSLによる柔軟なレイトレーシングにより、高品質な画像の生成が可能となっています。


HIVEは、科学技術計算可視化向けの可視化環境ではありますが、一般的な形状モデルフォーマット(STLやOBJ)もサポートしており、マルチプラットフォーム対応の汎用レンダリングソフトウェアとしても利用可能です。


パストレーシングシェーダによるHIVEでのレンダリング例


ボリュームレンダリング

HIVEはボリュームデータのレンダリングにも対応しており、CAE(Computer Aided Engineering)と呼ばれるものづくりの現場で、実際の風洞実験の代わりに、計算機による数値シミュレーションを行った際の可視化にも使われます。


ここでは計算工学ナビのサイトで公開されている、以下の再現実行対応事例の数値計算結果をHIVEにて可視化した例を示します。事例ではアヒルの形状データですが、本来のものづくりの環境では車、プロペラや風車など様々な形状データの解析が行われています。


計算工学ナビ 複雑形状周りの流れ解析(要ログイン): http://www.cenav.org/kdb/?p=2051



数値計算による圧力と流量の速度ベクトルのノルム表示例
(見やすいようにスケールしたものを表示してあります)

参考サイト

計算工学ナビの HIVE紹介ページは以下:
可視化ツールhiveとsurface
HIVEでの可視化チュートリアル(形状データの可視化)